IFAライフをありのままに
はじめまして、株式会社TAの山口と申します。
弊社は3人のメンバーで2018年に設立、2019年9月IFA業務をスタートしました。
IFAに関わる方向けに少しでも参考になるお話がしたいと思っています。
私は株式会社TAを経営しておりますが、今回は一人のIFAとして営業活動をスタートしたころのお話をつづりたいと思います。
様々な場面で活躍されているIFAの方々は光り輝いて見えます。でも本当のところ「IFAにチャレンジするのってどうなのだろう?」「そんなにうまく行くのか?」と思う方もいると思います。私の経験を通じて出来る限り具体的に生々しくお話したいと思います。
前職を退職するまで
私は2001年4月に野村證券株式会社に入社しました。岡山→名古屋→広島→岐阜→西宮と各地を転勤しました。最後、39歳で西宮支店を最後に退職しました。退職後休憩を挟み、2019年1月からCSアセット株式会社に所属させていただきIFA業務をスタートしました。IFAを目指した理由は、リテール営業が好きで、お客様と一生涯続く長期的な関係を追求したかったからです。
前職時代の顧客基盤は広島時代:350口座/100億 岐阜時代:250口座/150億 西宮時代:100口座/330億でした。長く勤務したこともあり比較的良い顧客人脈があるので大丈夫だろうと思いました。一方、広島で管理職になってからは偉そうに部下に開拓しろといいながら、自分自身は10年以上開拓していなかったので、IFAとして新規開拓ができるか不安でした。
20年激務で時間がなかった生活が一気に変わりました。東京の実家に帰って旧友と飲んだり、昼に起きて読みたかった本を読むなどニート状態を楽しみましたが半月もすると飽きてきます。更には、家族4人の生活費、住宅ローンですごいペースで貯金が減ります。退職金はあったものの、翌年の住民税が強烈で、自由を楽しむどころか不安が勝るようになります。
IFAとしての最初の半年 ≪移管を前提としない営業≫
私の住まいは岐阜です。最初に遠方から行こうと思い広島に集中しました。居住地に近いところで基盤ができると遠方へ行かなくなりそうだからです。口座開設キットと手土産を自家用車に積み込み、8時間かけて広島へ隔週で出張しました。減りゆく貯金のプレッシャーもあり、一泊1500円の民泊(ゲストハウス)を常宿にしました。
外国人旅行客が多いので、毎晩「はわいゆー」とか言いながら国際交流、いったい私は何をしてるんだろうと思いながらの日々です。
日中はひたすら6~7年ぶりのお客様先へ飛び込みです。IFAってなに?という質問に答えながらお客様の電話番号をお聞きします。それを基にアポイントをいれて2回、3回と通うと口座が開き始めます。新人時代に戻ったような日々でした。
転勤の際には、涙を流しながらあなたは良い担当だったと別れを惜しんでくださったお客様に再会するものの「お元気で~」と言われ音信不通に、一方で当時結果が出せず冷たかったお客様が「チャレンジする人は好きなので応援する」と言い取引をしてくれました。応援するという取引動機のお客様は割合多い気がします。
賛否両論ありますが、前職のお客様に対して『移管を前提としない営業』を行いました。しかしながら苦労することになりました。
私のスタート半年での預資産は約1.5億です、口座30件ほどでした。例えば前職でのお預りが10億のお客様も、IFAの私との取引は1000万からスタートという具合です。移管を前提としないので預資産はなかなか増えませんでした。当然、売上はほとんど上がらず暗黒の時代でした。スタート半年の報酬合計は50万円以下でした。
しかし移管を前提としない営業はお客様にストレスを与えないので口座件数は順調に伸びました。これは後から良い結果につながりました。特に中堅企業オーナーなどは、前職に義理を感じない営業の「すぐに全部移管してくれ」には嫌悪感を持つ方が多いように思います。
その後について
半年経過後から、西宮、岐阜へも同様の営業を開始しました。広島のお客様を深堀しながら、西宮、岐阜で新しく口座を作っていきます。
IFAとはどんな仕組みか?どんなメリットがあるのか?などお客様に最初からお伝えしますが、ある程度分かっていただけるには時間が必要です。少額から取引スタートしたお客様も徐々にIFAっていい仕組みだよねとおっしゃられ、満足度が上がっていきます。
【お付き合いレベル→通常の取引関係→本気で資産管理を任せていただく】と階段が上がっていきます。口座開設が順調だったことが活きてきます。前職のお客様とはいえもう一度最初から開拓して信頼を得て取引を拡大する感覚です。
個人的な人脈、お客様からのご紹介、異業種交流会等での接点、飛び込みなどから、前職で取引のなかったお客様が開拓出来始めます。いろいろやってみました。やってみないとわかりません。結果無駄だったことも多いですが、営業方法は自分で取捨選択することが大事と感じます。ただし世の流れとしてIFAの認知度は上がってきています。前職の看板よりも開拓しやすい感覚(私はやっていませんでしたが、当時の若手部下の新規開拓を見て)があります。
半年経過後から、IFAとしての営業に手ごたえが出てきました。1年経過時の顧客基盤は、口座60件/預資産12億ほどでした。その後も順調に拡大しながら現在2年半が経過しました。もう不安などは感じません。IFA法人の運営業務の方に時間を使うので、積極的な拡大はしないつもりです。ただ将来的な理想としては100世帯100億を目指したいと思っています。
前職でやっておけば良かった事
①しっかり貯蓄しておけばよかったと思っています。
スタート時は不安との闘いがあります。不安なくできる方もいるとは思いますが。
②証券会社外の人と交流しておけばよかった
社内の人とばかり飲みに行っていたのは楽しい反面、世界が狭かった
③もっと勉強しておけばよかった
日々の激務ルーチンワークに追われて、自己研鑽できていなかった
前職でやっておいて良かった事
①顧客のファミリー化
転勤を意識すると怠りがちですが、お客様の次の代と接点を持っていたことが大きい
②幅広い商品の取り組み
株、債券、投信、仕組債、為替などの全般を扱った経験があってよかった。
③マイナスになる仕事を誠意持って行った
例えばお客様の相続で資金流出が分かっていたとしても、丁寧に誠意持って対応したことなどをお客様が見ていた。数年ぶりに会うお客様から当時の通信簿をもらっている感覚。
IFAになるために何をしたら良いかとの質問をいただくことが多いですが、結局一番大事なのは、今担当している、今接しているお客様に誠実に対応することだと思います。
IFAになってやった事
①生活に係るコストを見直した
IFAにはノルマがないと言いますが、生きていくノルマはあります。生きていくノルマは過酷です。膨れ上がった生活費を見直しました。携帯、生保、食費、教育費を削りに削りました。恥をさらしますが、最も不安だった時期に住宅ローンをリスケしました。
②たくさんの人と会うようにした
直ぐに顧客開拓に繋がるか繋がらないのかは考えず、どんな人とも接するようにしました。意外なところからお客様の縁が生まれます。
③無駄だと思ったら軌道修正
異業種交流会などは、ターゲットにするお客様に合わせたものなら意味があると思いますが、無意味なものが多いと思います。
④だらけすぎない事
自由を手にした喜びで、最初かなり怠惰な生活をしました。もう一度テンションを上げるのに苦労しました。何か毎日のルーチンを設定すると良いと思います。
私は、本来毎日お電話する必要はないけども、それを喜ぶお客様に必ず8時台にマーケット説明の電話をする様にしました。
生活にリズムが出るようになり、充実して仕事ができるようになりました。
⑤運用をやりたい人だけお客様になっていただいた
前職の大手のお客様には、運用に興味もなく、必要もなく、惰性で取引を続けている方もいました。IFAとして喜ばれるためには、アドバイスを求めている人だけに営業することと思い実践しました。
最後にまとめ
せっかくIFAとして活動する、もしくは目指すのなら徹底的に理想を追っていただくことが良いと思います。書ききれませんが、残高収益を目指す為の管理口座への取り組みと理想、運用提案以外にお客様に提供しているサービスなどありますが、特に業務委託型IFAは自分をどうやってブランディングするか、どんなお客様と付き合うのか自由です。既定演技の世界から、自由演技の世界です。考えつくす必要があると思っています。
私どもTAは、良いIFAを世の中に増やすことがミッションと思い活動しています。チャレンジする方を応援することに喜びを感じています。IFAを目指す方も、すでにIFAとして活躍されている方も含め、共に業界を良くしたいと欲しています。
会社の垣根は関係なく、少しでもお話を聞きたい、IFAってどんなだろうと思う方には喜んで情報交換していきたいと思っています。
著者情報
company info
- 社名
- 株式会社TA
- 本社所在地
- 愛知県名古屋市中村区名駅5-3-21
- 対応エリア
- 全国対応 / 北海道 / 東北 / 関東 / 中部 / 近畿 / 中国 / 四国 / 九州
- 提携証券
- 楽天証券/あかつき証券