IFAとしての働き方

 こんにちは。株式会社WellsPartnersの桝と申します。

 当社第三回目となるコラムになりますが、今回は、IFAへの転身を検討されている方やIFAになって間もない方々に向け、IFAとして営業活動のイメージを膨らませていただけるよう、私の前職時代(証券会社勤務)の営業活動と一部比較をしながらお伝えできればと思います。私の経験や主観も入っておりますので、全てのIFAが以下の様な傾向があるわけではございませんので、ご容赦ください。
 IFAという働き方やお客様との関係のイメージを膨らませていただき、お読みになった方の今後のキャリア形成の一助になれば幸いです。

はじめに

 以前は、IFA転身直後、前職時代に担当しているお客様へ退職後改めて提携証券会社の口座を開設し、引き続きお客様との信頼関係を深めていくような形が多かったと思いますが、現在ではIFAになってからお客様ゼロの状態で新規開拓のみで顧客基盤を構築しようとするIFAも珍しくなくなってきている様に思います。
 前職時代のお客様へ継続で取引を申し出るIFAは、少ない方で2~3件、多い方で40~50件とその方の考え方に依る部分が強いです。しかし、前職時代に担当していたお客様を、全く制約無しでIFAになった後も継続して取引を行ってよいと認めている証券会社ばかりではありませんし、顧客への接触についてはトラブルへ発展したケースなども耳にします。IFAになることを検討している方は、所属証券会社でどのような制約があるのか、確認することを怠らないようにすべきだと思います。

1.新規開拓

 IFAとしての新規開拓で特筆すべき手法があるということは無く、証券会社、ひいては一般の事業会社の営業活動と行動自体はあまり変わりませんが、顧客化プロセスの傾向には大きな違いがあります。
 まず、証券時代では某中小企業データベースなどリスト化された対象先一覧を基に、資料発送や電話外交、飛び込み営業を行い顧客との接点を持ちます。大型引受案件や会社の重点取組商品などについて、お客様が好感されたら口座開設し取引スタートということが一般的でした。基本的には、営業員単独・課長や支店長と同伴など社内完結の行動が大半でした。
 IFAになってからのお客様は、「紹介」の割合が非常に多いです。紹介元は、既得意のお客様からの紹介もありますが、保険外交員やM&A仲介営業員、税理士法人からの紹介など相互補完できるような体制を築き、お客様対象先の相互紹介なども少なからずあります。対象先データベースなど有していないIFAが殆どになりますので、他業種の方とパートナーを組み新規開拓に活かす方が多いように思います。また、会社HPへの問い合わせで新しく口座を作るケースもありますし、リスト提供している事業会社や某上場企業ではアポイントメント取得代行業者などデータベースを有していなくても顧客接点を創る事業者を利用されているIFAもいます。ただ、実力のあるIFAの方は、何も情報の無い中、飛び込み営業や電話外交でお客様を開拓していく方もいらっしゃいます。
 IFAになると、証券会社や大手企業のデータベースの量やサポート体制などの充実度を痛感することがよくありましたが、IFAは工夫次第で様々な層のお客様と知り合えることが出来る点が魅力の一つだと思います。

2.時間

特に、大きな違いの一つは「時間」です。

証券会社勤務時代の簡単な流れ

 :6時半起床、新聞など読み出社準備
 :8時朝会スタート、前日までの進捗確認や商品情報の共有
 :9時寄付、訪問外交や電話外交を順次行う
 :17時作業や準備、翌日アポイント準備や事務作業
 :19時退社

 コロナの影響もあり、残業削減や在宅勤務も導入されたため時間管理はより細かくなりました。また顧客情報の観点から、社用貸与携帯を持ち帰っても業務時間終了後は使用不可など一部制約があることも聞いています。

 IFA法人、また正社員と業務委託の別で異なりますが、IFAには上記のような時間的な縛りなどありません。私は正社員ですので、8時半から17時が定時ということには一応なっていますが、お客様の都合に合わせて臨機応変に調整していきます。

ある1日

 :7時起床 ➢ 8時お客様先へ直行 ➢ 11時頃帰宅 ➢ 14時オンライン面談 ➢16時オフィス出社、事務作業 ➢ 18時帰宅 ➢ 23時オンライン面談

 ネット証券では外国市場はリアルタイムで注文が出せるため、相場を見ながら相談したい方や、遠方のお客様先へ訪問する際は、一度出社してからの出発だと効率も悪くなってしまいます。そのようなケースでは直行直帰にするなど、スケジュールも流動的に調整が効きやすいです。証券会社ではある程度労働時間の枠を固め、情報共有や勤務姿勢などある程度の質を担保できる環境であると思いますが、IFAの時間の使い方は自由なので対応できるお客様の層もIFA次第で如何様にも広げていくことが出来る点が魅力だと思います。

3.顧客とのコミュニケーションツール

 お客様との信頼関係を築いていく過程で、事業のことや家族のことなど多岐に亘ってお話をしていき、その中でソリューション提供へ結びついていくことについては、証券会社やIFAといった垣根はなく営業員の情熱や力量に依るところが大きいと思います。その点については大きな違いはありませんが、証券会社時代とIFAで特に大きな違いがあるのがコミュニケーションツールです。
 証券会社時代のお客様とのコミュニケーションツールで一番多かったのは、電話です。すべての会話について通話録音機能がついており、それによって営業員が守られている側面もありますが、お客様から録音については敬遠される場面もありました。証券会社でもメールを使用することはもちろん可能ですが、記載事項についてルールが厳しく、お客様との主たるコミュニケーションツールには成りえませんでした。
 IFAになってからお客様とコミュニケーションは、主にメールとSNSです。もちろん注文関係など通話録音付きの電話で確認することはありますが、使い勝手の良さや用件を文面に残すためにメールなどは非常に有効だと感じています。私も経験がありますが、移動中や忙しい時に、電話のみのコミュニケーションだと非常に煩わしい思いをします。
 特に現役オーナーなど日中大変ご多忙の中、本業以外の連絡はメールやSNSを好まれる傾向もあり、実際に私も1日1回も電話をしない日や、メールやSNSのやり取りだけで1日を終える日もあります。上述した時間の制約や紹介のしやすさなども、こういったコミュニケーションツールだからということもあると思います。22時頃にお客様から「紹介したい人がいるからLINEでグループ作っときました。」という具合に、非常に簡単に、また友人感覚で紹介の話が舞い込んできたりします。

おわりに

 今回は私の経験を含み、IFAとして働き方を前職時代と比較しながら述べさせていただきました。おそらく全国のIFAはそれぞれで工夫していることや、別の観点からIFAとしての優位性を感じていることと思います。もしお近くにIFAの方がいらっしゃれば、上述した観点などからご質問されてみるのもよろしいかと思います。私も証券会社を辞める決断は大きな心理的なハードルがありました。決してIFAと証券会社のどちらが優れているかを決めるつもりではありませんが、IFA業界の「人」や働き方などを共有し、相互発展の一助になればと思い今回のコラム作成に当たらせていただきました。皆様の御健勝を陰ながら祈っております。

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株式会社Wells Partners
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